第12話「番狂わせ」
2022.11.05ブログ
受付を済ませ、サブアリーナでウォーミングアップをした後、一回戦に向かう。
この日は身体がキレてる、調子がいいのが感じる。
一回戦、その先も勝ち上がり、準決勝。
先輩の宍戸さんがつぶやく。
宍「島野の相手は、野村か」
島「野村?」
宍「全東海のチャンピオンだわ」
島「えっ・・」
島「たしかに、パンフレットに書いてありますね、全東海王者、浜名湖の大会も優勝してますね。」
宍「見えないハイキックが飛んでくるから、ガードはしっかり上げるように」
島「押忍」
準決勝が始まる
審判「構えて!始め!」
とにかくハイキックに対する良い防御策は一つ、間合いを詰めてハイキックを蹴らせない位置で超接近戦で戦う事。
私は、密着にも近い形でパンチと膝蹴りで攻める。
しかし相手は百戦錬磨の相手。
私は経験もない20歳の学生、普通なら圧倒的不利。
野村は私の詰める間合いをいなして、さばいて攻撃を返してくる。
試合も中盤に差し掛かったところ。ここぞという場面で、ピュッ!と右足を上げて蹴ってきた!!
私はハイキックが来た!と思い、両手を頭の方に持っていく。
その瞬間。私の脇腹が、
「熱っ・・」
そう、野村はハイキックと見せかけて、私の脇腹に蹴りを入れてきたのだ!
野村の蹴りがモロに入り、私の右の脇腹に、
仕掛けられた小型爆弾がボカーンと爆発したような感覚に陥った。
※大会終了後、金沢に戻りレントゲンを撮ったら、なんと肋骨が2本折れていたのだ・・
しかし、私は完全にHighになっていたので、痛みも感じず、ガンガン攻めた。
すると、野村が耐えきれずに、たまらず反則を2回もしてきた!
これが減点となり、私が判定勝利した!
宍「すごいな島野!」
島「ありがとうございます、しかし脇腹やられました」
※野村に勝ったということは、
愛知県、岐阜県、山梨県、静岡県の男全員を集めて、極真空手を「よーいどん!」で対戦したら、私が1番最後に勝ち残るということだ!!
決勝戦は、野村との死闘で負傷箇所も多く、
本来の動きが全く出来ずに、負けてしまいましたが、
なんとなーく嬉しい気持ちと、
「本当に自分がこの結果を出したのか」
と、いきなりの展開に追いつけないでいた感覚でした。
表彰式後の写真がこちら↓↓
肋骨が2本折れた事がある方は共感できるかもしれませんが、折れた直後は歩くだけでも痛みで辛く、
「うっ・・!!」と言いながら帰りました。
この結果をきっかけに、金丸と再開したら、
何から攻撃をしていこうかシャドーボクシングでイメージできるようになりました。
私はこれまで沢山の困難に遭遇しましたが、
その度に最善策を考え、何度も乗り越えてきました。
この野村との対戦に至るまで、
私の空手人生で最初の困難でした。
困難に立ち向かう時は、とても怖く、勇気が入ります。
しかしその都度、何かしら試されている感覚にもなります。
「最後は自分が勝つ、勝つんだ」という強い気持ちで臨めば、たいていの事は上手くくぐり抜けられます。
なので絶対に大丈夫です、最後は上手くいきます。